FXの仕組みはどうなっている?証拠金や利益の種類などの基礎知識を解説

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FXは通貨を売買する取引ですが、証拠金による差金決済という特色のある仕組みがあります。

そのため、始めるにあたって仕組みや特徴への理解が必要です。この記事では、FXの基本的な仕組みやよく出てくる用語の意味を解説します。

まずは基本的な内容を押さえて、取引を始められるようにしましょう。

目次

FXの基本的な仕組み

FXは「Foreign Exchange」の略で、日本語では「外国為替証拠金取引」と呼ばれています。

具体的には、米ドルと日本円といった2つの通貨の交換取引です。

通貨ペアと為替レート

FXでは、2つの通貨を組み合わせて取引します。これを通貨ペアと呼びます。

たとえば、「USD/JPY」は米ドルと日本円の通貨ペアです。

通貨ペアの左側の通貨を「基軸通貨」、右側の通貨を「決済通貨」といいます。

「USD/JPY」であれば、米ドルが基軸通貨で日本円が決済通貨です。FXでは決済通貨が取引の主体となり、売買とは基軸通貨を売るか買うかを意味します。

「USD/JPY」の「買い」とは、「日本円を売って米ドルを買う」という意味です。

FXでは取引量が多い通貨をメジャー通貨、取引量が少ない通貨をマイナー通貨といいます。

一般的には以下のように分類されています。

メジャー通貨米ドル、ユーロ、ポンド、日本円、豪ドルなど
マイナー通貨トルコリラ、メキシコペソ、南アフリカランドなど

FXで少額取引を可能にする「レバレッジ」

FXのレバレッジとは口座に「証拠金」というお金を預け入れて、証拠金以上の大きな金額の取引ができる仕組みです。

レバレッジは証拠金の25倍までかけられ、倍率を高くするほど必要資金を抑えられます。

たとえば、25倍のレバレッジをかけると、自分の持っている資金の25倍までの通貨を売買できます。

つまり、1ロットの米ドル/円を取引する場合でも、140万円ではなく5万6,000円(140万円÷25)だけ用意すればよいのです。

このように、FXではレバレッジの活用で少額の資金でも大きな取引ができるようになります。

レバレッジをかける

レバレッジとは、証拠金の何倍の取引ができるかを示す倍率です。

レバレッジが25倍の場合、4万円の証拠金で100万円分の取引が可能となります。

レバレッジを使うと、少ない資金で大きな利益を得られる可能性がありますが、損失も大きくなる可能性があるため、注意が必要です。

証拠金を差し入れる

FXは証拠金と呼ばれるお金を預け入れて、実際の資金よりも大きな額の取引ができる証拠金取引です。

また、FXは資金を実際に受け渡すのではなく、差金決済という仕組みで取引されます。

日本では証拠金の25倍 までの取引が認められています。

たとえば、1米ドル100円のレートで1万ドルを買いたい場合、証拠金は最低4万円必要となるわけです。

差金決済では取引の損益のみを支払い、現物の通貨を受け渡しません。

たとえば、1米ドル100円のレートで1万ドルを買った後、1ドル110円のレートで売却したとします。

その場合、1万ドル分の差額である10万円の利益を受け取ります。反対に10万円の損失が発生した場合は、証拠金から損失分が差し引かれる仕組みです。

差金決済によって、少ない資金で大きな利益を得られる可能性があります。しかし、損失も大きくなる可能性があるため、リスクを理解した上で取引することが重要です。

FXの取引時間

FXは世界各地で為替市場が開いているため、平日と祝日であれば24時間いつでも取引が可能です。

各市場の日本時間での開場時間は以下のとおりです。

  • ウェリントン市場:5時~15時
  • シドニー市場:5時~15時
  • 東京市場: 8時~17時
  • ロンドン市場:17時~2時
  • ニューヨーク市場:22時~5時

24時間世界のどこかで外国為替市場が開場しているため、自分のライフスタイルや取引スタイルに合わせて取引時間帯を選べます。

売りから取引できる

FXは「買い」からだけでなく「売り」からも取引できる点が特徴です(空売り)。

FXのポジション(通貨を購入して決済せずに保有している状態)には、買いと売りの2種類があります。

FXで利益を得る2つの方法と仕組み

FXで利益を得る方法は、大きく分けて2つあります。

  • 為替差益:通貨ペアのレート変動による利益
  • スワップポイント:2つの通貨の金利差による利益

為替差益

為替差益は「買い」で買った通貨ペアをより高いレートで売却するか、「売り」で売った通貨ペアをより低いレートで買い戻すことで得られる利益です。

為替差益は短期間で大きな利益を得られる可能性がありますが、レートが反対方向に動くと損失を被るリスクもあります。

スワップポイント

FXでは2つの通貨を交換するため、金利の高い通貨を買って金利の低い通貨を売ると、金利差を受け取れます。

スワップポイントとは2つの通貨間の金利差調整分で、FXでは毎日受け渡されます。

たとえば、金利の高い米ドルを買って、金利の低い日本円を売った場合、金利差によって毎日スワップポイントを受け取れます。

逆に金利の低い日本円を買って、金利の高い米ドルを売った場合、毎日スワップポイントを支払うことになる点に注意が必要です(マイナススワップ)。

スワップポイントはデイトレードのような短時間の取引には関係ありませんが、長期保有には影響があります。特にマイナススワップでの長期保有には注意しましょう。

FXの基本的なリスク

FXには主要な3つのリスクとスリッページ、ロスカットに注意する必要があります。

為替変動リスク

為替変動リスクとは、為替レートの変動によって損失が発生する可能性です。

米ドル/円の通貨ペアの買いポジションを保有している場合、為替レートが購入時よりも円安になれば含み益となり、逆に円高になると含み損となります。

為替変動リスクを軽減するには、以下の方法があります。

  • リスク管理を徹底する:レバレッジを適切なレベルに設定する、損切り注文を活用するなど
  • 経済指標や政治情勢を常に把握する:為替レートに影響を与える要因を理解する
  • 分散投資を行う:複数の通貨ペアに投資することで、リスクを分散する

金利変動リスク

FXには通貨ペアの2国間の金利が変動するリスクがあり、金利差は為替レートとスワップポイントに影響します。

2国間の通貨取引では金利の高い通貨が買われやすく、金利の低い通貨は売られる傾向があります。

たとえば、米ドルと日本円であれば政策金利の高い米ドルが買われ、低金利の日本円が売られやすくなるのです。

その結果、円安ドル高になりやすくなります。

また、2国間の金利差が拡大するとスワップポイントも大きくなります。

米ドル/日本円の買いポジションを持っていて米国の政策金利が高くなると、スワップポイントの増加が期待できるのです。

逆に売りポジションを持っている場合、マイナススワップが拡大するおそれがあります。

金利変動リスクの対策として、各国の金利政策に関するニュースのチェックが必要です。

レバレッジのリスク

FXにはレバレッジによって差し入れた証拠金を上回る損失が生じるリスクがあります。

FXではレバレッジという仕組みにより、証拠金の最大25倍までの取引ができます。

たとえば、取引金額100万円の場合でも10倍のレバレッジをかけると、証拠金10万円で取引が可能です。

ただしこのケースで米ドル円の通貨ペアでドルを買い、1円値下がりすると1万円の損失が発生します。

この場合、レバレッジ1倍であれば資金100万円に対して1万円の損失です。

一方、レバレッジ10倍では10万円に対して1万円の損失と、資金に対する損失割合が高くなる点に注意が必要です。

レバレッジは手元資金が少ない人でも取引できるFXの魅力ですが、高すぎると取引リスクも高まります。適切なレバレッジ設定を心がけましょう。

スリッページ

FXのスリッページとは、注文したレートと実際に約定(取引が成立すること)したレートの差です。

これは、市場の状況によって常に変動する為替レートと、注文から約定までのタイムラグによって発生します。

スリッページによるリスクとは、注文したレートより不利なレートで約定してしまうことです。

たとえば、1米ドル140円のレートで買い注文を出したのに、スリッページによって1米ドル140.5円で約定するようなケースが該当します。

この場合、数量が1万通貨であれば想定よりも5,000円多く支払うことになるのです。

損失を拡大させないロスカットとは

FXのロスカットとは一定の損失が発生した場合に、強制的にポジションが決済される仕組みです。

ロスカットは損失が膨らむのを防ぐ、投資家保護のためのシステムです。

ロスカットは証拠金維持率をもとに判定し、「純資産 ÷ 必要証拠金 × 100」の計算式で求めます。

証拠金維持率がFX会社の定める水準(多くの場合50%または100%)を下回ると、ロスカットが発動します。

ロスカットされると保有しているポジションが強制的に決済され、損失が確定するわけです。

ロスカットを避けるためには、以下の方法が挙げられます。

  • 証拠金維持率に注意する:証拠金維持率が低下している場合は、追加資金を投入するか、ポジションの一部を決済する
  • レバレッジを低く設定する:レバレッジが低いほど必要証拠金が少なくなり、ロスカットが発生しにくくなる
  • リスク管理を徹底する:損切り注文を活用するなどリスクを管理する

まとめ:基本的な仕組みを理解して取引を始めましょう

FXで堅実に利益を得るにはまずは実践するのが大切ですが、始める前に最低限の知識は必要です。特有の仕組みや用語を覚えてから実際の投資を始めましょう。

また、最初から大きな利益を狙ってレバレッジを高くするのは危険です。まずはレバレッジ3倍以内で始めるようにしましょう。

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この記事を書いた人

明治大学卒業。金融ソフトウェア開発、国内生命保険会社の法人営業を経て、独立系FPとして開業。個人や法人オーナーへのコンサル業務、セミナー講師の他、現役FPの知見を生かした執筆業務を行っている。 CFP®・DCアドバイザー・証券外務員二種/群馬FP事務所代表

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