iDeCoは年末調整でいくら戻る?知らないと損する申告方法と書き方を詳しく解説(13943年末調整にまとめる)

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節税しながら、将来の老後資金を準備できるiDeCo。「iDeCoをしてみたいけど、どれくらいお得かわからない」と開設を迷っていませんか?

そこで今回は、FP1級の元銀行員がiDeCoで「どのくらいお得か」を解説します。

ちなみに、実際にシミュレーションした結果、会社員の場合は年収400万円で41,400円、年収500万円で55,200円の節税ができることがわかりました。

年末調整の仕方や注意点なども紹介するので、iDeCoを最大限活用するために、ぜひ最後までチェックしてください。

目次

iDeCoのおさらい

iDeCoの特徴は3つです。

①掛けた金額が全額所得控除
②老後資金の準備ができる
③利益は非課税、受け取る際も控除あり

詳しく解説していきます。

①掛けた金額が全額所得控除

iDeCoでの節税効果はインパクト大。なぜなら、支払った掛金の全額が所得から引かれ、その分税金が安くなるからです。

例えば、企業型DCに加入していない会社員の場合、掛金の上限額は月額23,000円です。年間にすると、最大276,000円を所得から引くことができます。

会社員の方がよく年末調整で利用される生命保険料控除は、上限額が4万円。

他の制度と比較しても、iDeCoは控除の金額が大きいことがわかります。効率よく税金が返ってくるので、お得に将来の老後資金を準備したい方におすすめですよ。

加入資格上限額
自営業者等(第1号被保険者・任意加入被保険者)月額6.8万円(年額81.6万円)(国民年金基金または国民年金付加保険料との合算額)
会社に企業年金がない会社員月額2.3万円(年額27.6万円)
企業型DCのみに加入している会社員*1月額2.0万円*3
DBと企業型DCに加入している会社員*2月額1.2万円*4
DBのみに加入している会社員*2月額1.2万円(年額14.4万円)
公務員月額1.2万円(年額14.4万円)
専業主婦(夫)月額2.3万円(年額27.6万円)

*1 企業型DCとは、企業型確定拠出年金のことをいう。
*2 DBとは確定給付企業年金(DB)、厚生年金基金、石炭鉱業年金基金、私立学校教職員共済をいう。
*3 企業型確定拠出年金(企業型DC)のみに加入する場合
  月額5.5万円-各月の企業型DCの事業主掛金額(ただし、月額2万円を上限)
*4 企業型DCとDB等の他制度に加入する場合
  月額2.75万円-各月の企業型DCの事業主掛金額(ただし、月額1.2万円を上限)

参考:iDeCo(イデコ)の加入資格・掛金・受取方法等|iDeCoってなに?|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】 (ideco-koushiki.jp)

②老後資金の準備ができる

iDeCoは個人型確定拠出年金という「年金」制度で、将来の老後資金の準備にぴったりです。

事実、現役世代は公的年金だけで老後の生活費を賄うことは難しく、自分で備えておくことが大切です。

公的年金の受取額の平均は、会社員の場合が月額14万5千円、自営業などの国民年金のみの場合は月額5万6千円となっています。

しかし、65歳以上の夫婦の1カ月の生活費は、平均約29万円。年金だけでは到底足りず、貯金を取り崩して生活していかないといけません。さらに、夫婦2人のゆとりある老後生活費は月額37.9万円が必要※とされています。

iDeCoは、公的年金に上乗せして自分で年金を作ることができます。

65歳まで加入することができ、受給開始の時期は、60〜75歳の間でご自身で自由に決められます。

受け取り方は一時金・年金形式・一時金+年金形式と、希望に合わせて選べる点もうれしいポイントです。

参考:令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
p8 表6  厚生年金保険(第1号) 受給者平均年金月額の推移
p19  表20 国民年金 受給者の平均年金月額の推移

参考: 家 計 調 査 報 告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要
p17 表1 二人以上の世帯のうち65歳以上の無職世帯の家計収支

消費支出と非消費支出を合計し計算

※参考:生活保障に関する調査

③利益は非課税、受け取る際も控除あり

掛金は、ご自身で選んだ投資信託などで運用することができます。預金の利息や投資での利益は通常20.315%の税金がかかりますが、iDeCoで発生した利益は非課税です。

例えば、100万円の利益が出た場合、本来の税金は約20万円であり、受取額は約80万円。iDeCoなら、100万円すべて受け取ることができるので、大きなメリットだといえますね。

一時金で受け取る場合は退職所得控除が、年金形式の場合は公的年金等控除がそれぞれ適用。受給時に税金面で優遇されるのもiDeCoの特徴です。

■退職所得控除とは…
退職金を一括で受け取る場合の非課税枠のことです。iDeCoを一時金で受け取った場合にも適用されます。

勤続年数またはiDeCo加入年数退職所得控除額
20年以下40万円×勤続年数
20年超70万円×(勤続年数-20年)+800万円

課税される退職所得は「(退職金やiDeCo-退職所得控除)×1/2」で以下の税率で計算されます。

課税される退職所得税率控除額
1000~194万9000円5%0円
195万~329万9000円10%9万7500円
330万~694万9000円20%42万7500円

■公的年金等控除とは…
iDeCoの受け取り方法を年金形式で受け取る際に適用される控除です。

65歳以上の方の場合

公的年金等の収入金額の合計税率控除額
1000~194万9000円5%0円
195万~329万9000円10%9万7500円
330万~694万9000円20%42万7500円

いくら税金が返ってくるのか検証!年収500万円で5.5万円の節税

iDeCoの掛金は所得控除になりますが、年末調整でいくら戻るかは、課税所得の金額によって異なります。

特に、所得が高い人は税率も高いため、iDeCoによる節税の効果は大きいといえますよ。

・年収300万円、掛金が毎月23,000円の場合

iDeCoありiDeCoなし差額
所得税41,615円55,415円13,800円
住民税88,230円115,830円27,600円
合計129,845円171,245円41,400円

・年収400万円、掛金が毎月23,000円の場合

iDeCoありiDeCoなし差額
所得税71,420円85,220円13,800円
住民税147,840円175,440円27,600円
合計219,260円260,660円41,400円

・年収500万円、掛金が毎月23,000円の場合

iDeCoありiDeCoなし差額
所得税110,950円138,550円27,600円
住民税213,450円241,050円27,600円
合計324,400円379,600円55,200円

*課税所得は年収から給与所得控除、基礎控除、社会保険料控除のみを差し引いて計算
*社会保険料は年収の14.39%として計算
*住民税の税率は10%で計算
【公式】かんたん税制優遇シミュレーション|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】 (ideco-koushiki.jp)

例えば、年収500万円の方が毎月23,000円支払った場合、年間で55,200円の節税になります。

所得税はその年の12月か翌年1月に27,600円還付され、住民税は翌年の支払いから27,600円が引かれます。

掛けた年数が30年間になれば、節税額の合計は約166万円にもなります。

個人年金保険などの保険料を支払った際に使う「生命保険料控除」よりも、節税の効果は高いといえます。

なぜなら、生命保険料控除の上限額は4万円だからです。年収500万円の方でも、年間8万円以上の支払いで8,000円しか返ってきません。

その点、iDeCoは掛金が全額所得控除なので、税制面でかなりお得な制度といえます。

節税しながら老後資金を積み立てしたい方にはおすすめ。上手く活用していきましょう。

節税の恩恵を受けるには、年末調整や確定申告が必要

iDeCoで節税するには、年末調整か確定申告をする必要があります。

会社員の場合であれば基本的に年末調整で手続きが完了するケースが多いですが、中には確定申告が必要な場合もあります。

具体的には以下の通りです。

確定申告が必要なケース

①個人事業主の場合
②給与以外の収入が年間20万円以上ある場合
③医療費控除を受ける場合
④住宅ローン控除を受ける初年度の場合
⑤ふるさと納税で6か所以上の自治体に寄付している場合
⑥2か所以上から給与をもらっている場合
⑦年の途中で退職して再就職していない場合
⑧年収2,000万円を超える場合
⑨年末調整をし忘れた場合

年末調整の記入方法

1.「小規模企業共済等掛金払込証明書」が10月に送付される
2.「給与所得者の保険料控除申告書」の右下にある「小規模企業共済等掛金控除」の欄に金額を記入
3.書類を担当部署に提出する

「小規模企業共済等掛金払込証明書」は、加入した月によって送付時期が異なります。

10月以降に加入した場合は、11月以降に順次送付されます。

もし、年末調整に間に合わなければ、確定申告をすると還付を受けられますよ。

なお、iDeCoの掛金を給与天引きで支払っている場合は、年末調整の手続きは不要です。

会社が給料の支払い時に掛金を考慮して、毎月税額を計算しているからです。

「小規模企業共済等掛金払込証明書」の発行はありません。

確定申告の記入方法

1.「小規模企業共済等掛金払込証明書」が10月に送付される
2.「確定申告書第一表」「確定申告書第二表」に記入する
3.書類を翌年2月16日~3月15日の間に税務署に提出する

「確定申告書第一表」の左下にある「小規模企業共済等掛金控除⑭」に金額を記入。

「確定申告書第二表」の右上にある、3「⑭小規模企業共済等掛金控除」の「保険料等の種類」欄には、「個人型確定拠出年金」と記入してください。

また、マイナンバーカードを持っていれば、ネット上で確定申告ができるe-Taxも利用できます。

その場合、「小規模企業共済等掛金払込証明書」は税務署への提出は不要ですが、自宅で5年間保管する必要があります。

注意すべき点4つ

さまざまなメリットのあるiDeCoですが、加入の際には注意点もあります。

住宅ローン控除やふるさと納税

所得税や住民税から直接差し引くことができる住宅ローン控除ですが、iDeCoと併用する際は気をつけなければいけません。

というのも、節税できる金額が、支払う予定の所得税や住民税を上回った場合、それぞれの控除が無駄になってしまうからです。

また、ふるさと納税を行う場合も、iDeCoの掛金を控除した所得で上限額を計算しましょう。

上限額を超えた分は、翌年の住民税から引かれず、ただの寄付になってしまいます。

最大限の税金対策をするには、住宅ローン控除やふるさと納税も考慮してシミュレーションしてみましょう。

扶養内パートや専業主婦(夫)は節税メリットない

税金対策でとても有効なiDeCoですが、そもそも所得税が発生しない扶養内パートの方や、専業主婦(夫)の方は恩恵を受けられません。

そういった方の場合、iDeCoと同じく、将来の資金の準備として有効なNISAがおすすめです。

NISAも運用で増えた利益は非課税で受け取ることができます。さらに、手数料が安く、いつでも引き出し可能で、iDeCoと比較してメリットが多いですよ。

60歳まで出金できない

iDeCoは「個人型確定拠出年金」という年金の制度であり、60歳まで出金することができません

そのため、「60歳まで出せない貯金箱」ともいわれています。

急な出費でお金がないということにならないよう、あくまで余裕資金で積み立てすることが大切です。

手数料がかかる

iDeCoには、加入時・運用時・給付時にそれぞれ手数料がかかります。

特に、運用時の手数料は金融機関によって異なるため、加入時によく確認しましょう。iDeCoの場合、ネット証券が運用手数料が安くおすすめです。

金融機関を選ぶ際は、手数料に加え、取り扱い銘柄も比較しましょう。

実際に積立する投資信託には信託報酬(運用時の手数料)がかかります。信託報酬が低いものを取り扱っているか確認しましょう。

加入までに時間がかかる

申し込み後、国民年金基金連合会にて、加入資格の確認が行われます。そのため、加入までには通常1カ月半〜2カ月半かかります。

手続きはできるだけ早めにしておきましょう。

特に、年末に引き落としを間に合わせたい場合は注意が必要です。

iDeCoで保育料を安くすることもできる

節税効果が高く、さまざまなメリットのあるiDeCoですが、場合によっては保育料を安くすることも可能です。

3歳児以降は保育料が無償化されていますが、0~2歳児には保育料がかかります。保育料は世帯の住民税額によって、自治体が決定しています。

iDeCoに加入した場合、全額が所得控除になり所得が下がるため、住民税も下がります。その結果、保育料も安くなるケースがあるのです。

自治体によって保育料を決定する住民税額の区分は異なるため、必ずご自身の住んでいる自治体のホームページなどで確認しましょう。

iDeCoの節税効果は大きく、老後資金も準備ができる

iDeCoに加入した場合、掛金の全額が所得控除になり、高い節税効果を得られます。

例えば、掛金が毎月2.3万円の場合、年収が400万円なら41,400円、年収が500万円なら55,200円税金が返ってきます。

よく利用される生命保険料控除は、控除の上限額が4万円。他の制度と比較しても、iDeCoは効率的に節税することができます。

会社員であれば、年末調整で簡単に手続きが可能です。

また、個人事業主などの確定申告が必要な方の場合でも、ネットで容易に申告ができますよ。

iDeCoは「個人型確定拠出年金」という自分でつくる年金制度です。

節税の恩恵を受けながら、お得に老後資金の準備をしたい方におすすめです。

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この記事を書いた人

お金に関する基本的な知識から貯金のコツ、資産形成まで幅広く伝えるメディア「@nextマガジン」の運営を行っています。ここにくれば、お金の悩みが解決できる「お金の広辞苑」を目指して日々記事を公開中です。本当にタメになる情報だけを厳選してお届けします。

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