FXでは損失を最小限に抑えるために「損切り」が重要です。しかし、初心者は損切りの重要性ややり方がわからないのではないでしょうか。
この記事では損切りの考え方や、実際のトレードでのやり方を解説します。
損切りが習慣になると大きな損失を避けられるようになるので、ぜひやり方をマスターしてください。
FX取引での損切りとは?
FX取引での「損切り」とは為替レートが自分の予想と反対に動いた場合に、損失を最小に抑えるためにポジションを決済することです。
ポジションとは、FXで売買が成立してから決済されていない状況を意味します。
たとえば、米ドル/円では円を売って米ドルを買うことを買いポジション、米ドルを売って円を買うことを売りポジションといいます。
損切りの目的
FXの損切りは損失を少なくして、次のチャンスに備えることが目的です。
FXでは常に勝てるとは限らず、為替が想定外の値動きをするケースはよくあります。
その場合、損失が拡大する前にポジションを決済してしまう必要があります。損失が少ないうちに見切りをつけると、資金の必要以上の目減りを防げるのです。
損切りしないで待つとどうなる?
FXで予想と反対に為替が動いた場合、多くの人は反転するのを待ちます。
しかし、それでもさらに反対方向に相場が進んだ場合、損失がどんどん拡大してしまいます。
そのまま損失が拡大するとロスカットが発動し、ポジションが強制決済されてしまうかもしれません。
ロスカットとは口座の証拠金が一定額以下になった場合に、強制的にポジションを決済する仕組みです。
ロスカットの基準(証拠金維持率)はFX会社ごとに決められています。
証拠金維持率はほとんどのFX会社のトレード画面で確認できるので、自分で計算する必要はありません。
たとえば、証拠金を1万円入金し、1米ドル100円のときに2,500通貨(米ドル)の買いポジションを持ったとします。
ロスカットの証拠金維持率が50%の場合、1米ドル98円を割るとロスカットされます。このときの損失額は5,000円で、証拠金は5,000円に減ってしまうのです。
このケースで1米ドル99.5円になったタイミングで自主的に損切りしていれば、損失は1,250円ですみます。
思惑が外れた場合に自分の間違いを認めて損切りをすると、FXの資金を大きく減らすのを防げるわけです。
FXで損切りが必要な理由
FXのトレードでは損切りは基本であり、必須の手法です。
損切りを習慣化するには、以下のような損切りの必要性を正しく理解する必要があります。
FXでは必ず勝てるとは限らないから
FXの取引では自分の分析や予想に基づいてエントリー(新規でポジションを持つ)しますが、それが必ず正しいとはかぎりません。
相場はさまざまな要因で変動し、予想外の事態も発生する可能性があるためです。
そのため、自分の予想が外れてしまった場合には、素直に認めて損切りを行う判断が大切です。
反対に、自分の予想が正しかったとしても相場が一時的に反対方向に動くケースもあります。
そのような場合には、損切りせず待つ判断も必要ですが、その基準は難しいといえます。
そこで、損切りには、あらかじめルールを決めておく必要があるのです。
ロスカットによる想定外の決済を防ぐ必要があるから
先述したとおり、損失が拡大すると、最終的にロスカットによる強制決済となるおそれがあります。
想定外の値動きをしたときに反転を待つのは悪いことではありませんが、見切りをつける基準がないと傷口が広がる一方になりかねません。
FXはロスカットがあるために、自己資金(証拠金)を超える損失は出にくいといえます。
しかし、ロスカットされる前に損切りできれば、必要以上の損を出さずにすみます。
放置していると他の取引機会を逃してしまうから
利益を得る見込みのないポジションをそのままにしておくと、他の取引機会を逃してしまいかねません。
FXで使える自己資金には限りがあり、1つのポジションを持つとその他のポジションを持つために使える資金は減ってしまいます。
含み損(決済前の確定していない損失)のあるポジションを放置していると、利益の期待できるトレードにエントリーできないおそれもあります。
チャンスを逃さないためにも反転しそうにないポジションは早めに損切りしましょう。
損切りの水準の決め方
損切りを適切に実行するには、あらかじめ水準を決めておく必要があります。
損切りの水準が決まっていれば、機械的に損切りするだけなので初心者も判断に迷わずにすむでしょう。
ここでは、損切りの水準の決め方を3つ紹介します。自分にできそうな方法を取り入れてみましょう。
値幅で決める
値幅で決める方法は、エントリーした価格から一定の幅だけ下落(買いポジション)または上昇(売りポジション)したら損切りする方法です。
たとえば、米ドル/円のトレードにおいて1米ドル100円で買いポジションを持った場合、99円まで下落したら損切りするといったやり方です。
一般的に、損切りの値幅は利益確定の値幅の半分が適切といわれています。
つまり、1円値上がりしたら利益確定しようと考えるのであれば、損切りは0.5円値下がりしたら行うわけです。
「0.5円下がったら」のような金額を基準にする方法もありますが、「10%下がったら」のように割合で決めてもよいでしょう。
この方法はシンプルでわかりやすく初心者向きですが、値動きの激しい相場では早期に損切りされてしまう可能性もあります。
損失額で決める
損失額で決めるとは、ポジションの損失額(含み損)が一定の金額に達したら損切りする方法です。
たとえば、証拠金を10万円入金していて1回の取引に最大で1万円の損失を許容する場合、損失額が1万円に達したら損切りするというルールを設定できます。
損失額で決める方法は資金管理にも有効ですが、水準が狭くなりすぎる可能性もあります。
そこで、初心者は投資額(証拠金の額)の2%程度の金額に決めるとよいでしょう。
テクニカル分析を基準にする
テクニカル分析を基準にする方法は、チャート上のサポートラインやレジスタンスライン、移動平均線などを参考にして損切りの水準を決める方法です。
たとえば、買いポジションを持った場合、直近の安値やサポートラインを下回ったら損切りするというルールを設定できます。
テクニカル分析を基準にする方法は市場のトレンドやサイクルに合わせて損切りの水準を調整できますが、知識や経験が必要です。
初心者には難しいため、テクニカル分析が身についたら取り入れるとよいでしょう。
損切りの注文方法
自分の損切りの基準を決めたら、実際に損切りの注文を入れます。
FXにはさまざまな注文方法が提供されていて、自動的に損切りしてくれるものもあります。
そのような注文を利用すれば、寝ている間に損切りの水準になってしまったポジションも自動的に決済されるので安心です。
どのような注文方法があるか見ていきましょう。
逆指値注文
逆指値注文(ストップ注文)とは、現在のレートよりも不利なレートで注文を入れる方法です。
新規注文ではなく、保有中のポジションに追加する決済注文です。
たとえば、1米ドル100円の買いポジションを1,000米ドル分保有しているときに、97円まで急落したとします。
逆指値注文を入れていなければ、4,000円の損失が発生します。
ここで、前もって、99.5円で逆指値注文を入れておくと、損失は500円ですむわけです。
逆指値注文は相場が急変した場合でもあらかじめ設定したレートで決済できるため、安心して取引できます。
ただし、逆指値注文は約定(売買成立)するまでにスリッページ(発注レートと約定レートの開き)が発生する可能性があります。
OCO注文
OCO注文とは「One Cancels the Other」の略で、一方の注文が約定したらもう一方の注文を自動的にキャンセルする注文方法です。
指値と逆指値の注文が同時にセットされ、利益確定と損切りの決済注文を1回で出せます。そのため、相場がどちらに動いても対応可能です。
OCO注文は新規注文もできますが、保有ポジションの決済注文として追加もできます。
たとえば、米ドル/円で1米ドル100円の買いポジションを持っている場合に、99.5円になったら損切りの売り注文、102円になったら利益確定の売り注文といった決済の注文ができます。
損切りだけでなく利益確定も自動的に行われるので、チャートを追う時間のないときには便利です。
IFD注文
IFD注文とは「If Done」の略で、新規注文と決済注文を同時にする方法です。
IFD注文では「新規注文と利益確定注文(指値注文)」または「新規注文と損切り注文(逆指値注文)」のどちらかを設定できます。
また、新規注文は成行注文と指値注文のどちらも選択可能です。
損切りに利用する場合は、「新規注文と損切り注文」のパターンを使用します。
米ドル/円の現在のレートが1米ドル100円で買い注文(成行)をし、0.5円を損切り水準とする場合、以下のような指定レートとなります。
・新規注文:成行
・決済注文(逆指値):99.5円
新規を99.7円の指値注文にする場合の指定レートは、以下のとおりです。
・新規注文(指値):99.7円
・決済注文(逆指値):99.2円
IFD注文はエントリーのついでに損切りを設定しておけるため、時間や手間を省けます。
IFO注文
IFO注文とは「If Done OCO」の略で、IFD注文とOCO注文を組み合わせた注文方法です。
新規注文に決済の指値注文と逆指値注文をセットし、エントリーのタイミングで利益確定と損切りも一度に注文します。
一度の注文でエントリーから決済までが全自動で執行される注文方法です。
米ドル/円の現在のレートが1米ドル100円で買い注文(成行)をし、1円を利益確定水準、0.5円を損切り水準とします。その場合、IFO注文で以下のようなレートを指定します。
・新規注文:成行
・利益確定注文(指値):101円
・損切り注文(逆指値):99.5円
新規を99.7円の指値注文にする場合の指定レートは以下のとおりです。
・新規注文(指値):99.7円
・利益確定注文(指値):100.7円
・損切り注文(逆指値):99.2円
決済注文で指値または逆指値注文が執行されたら、もう片方の注文はキャンセルされます。
FXで損失を少なくするポイント
FXでは損失をゼロにはできないため、いかに損を少なくするかが安定した収益のポイントになります。
最後に、FXで損失を抑えるコツを解説します。
利益を狙うより損失を減らすことを重視する
FXでは利益を狙うよりも損失を減らすことが重要です。
なぜなら、大きな損失が生じると投資資金が底をつき、取引を続けられなくなるおそれがあるためです。
自分の想定した値動きにならない場合は、損失が大きくなりすぎないうちに早めに見切りをつけましょう。
収支はトータルでプラスになればよいので、含み損が発生したら早めに損切りして資産を守っていきましょう。
損切りルールを守る
FXでは、自分の予想が外れた場合にどこでポジションを決済するかの損切りルールをあらかじめ決めておきましょう。
損切りルールは、自分の許容できるリスクや資金額に基づいて作成します。
たとえば、ポジションごとに最大2%の損失まで許容するといったルールや、1日あたりの最大損失額を1万円にするようなルールなどです。
損切りルールを作成したら、それを厳守しなければなりません。
感情的になってルールを破ったり変更したりすると、思わぬ大きな損失を招くおそれがあります。
レバレッジをかけすぎない
FXで損失を抑えるには、レバレッジを高くしすぎないようにしましょう。
FXにはレバレッジという仕組みがあり、口座に入金した証拠金以上の金額の取引が可能です。
レバレッジは倍率を表す用語でもあり、レバレッジ25倍であれば1万円の入金で25万円の取引ができます。
つまり、元手が1万円でも25万円を運用した利益が得られるわけです。ただし、利益が大きくなると損失も大きくなる点に注意が必要です。
初心者はレバレッジを3倍程度にしておくとよいといわれています。
ポジションを大きくしすぎない
初心者は最初から大きすぎるポジションを持たないようにしましょう。
どんな投資も取引額が大きいほど大きな利益を期待できますが、反対に大きな損失を被るリスクも高まります。
たとえば、1万米ドルの投資で1円の値動きがあると1万円の損をする可能性があり、10万米ドルなら同じ値動きで10万円の損をする可能性に変わるのです。
FXは損をする可能性も比較的高い投資です。最初から大きな金額のトレードをして含み損が発生すると、精神的に動揺するおそれがあります。
始めるにあたっては損をしてもダメージの少ない金額でトレードし、実践を積みながら徐々にポジションを大きくしていきましょう。
損切りルールをときどき見直す
自分で作った損切りのルールはときどき見直しましょう。自分で決めた損切りの幅が適切でないケースも考えられるためです。
損切りの幅が大きすぎると、必要以上の損失が発生します。また、幅が小さすぎると、本来は利益が得られたはずのポジションも損切りしてしまいかねません。
自分のトレード結果を振り返り、損切りの幅についても見直していくとよいでしょう。
終わりに|損切りの基準を定めて注文しよう
損切りはFXの収益を黒字にしていくために欠かせない手法です。
損切りの注文を入れると自動的に実行されるので、寝ている間に相場が急変しても大きな損をするリスクを減らせます。
初心者はとりあえず損切りの基準を決めて、注文を入れておく習慣をつけましょう。トレードに慣れたら損切りの基準を適切に修正していくとよいでしょう。
忙しくてもFX自動売買を使って副収入としてまず月1万円を稼ごう!
忙しいサラリーマン生活を豊かにしたいという思いからFX自動売買を開始。 月1万円の副収入を目指し、FX自動売買歴初心者が現在進行形で実施、検討中。 日々勉強しながら、着実にFX自動売買で勝っていく方法をブログでまとめている。