FXでルール作りが重要だといわれても、実際にどのようなルールを作ればよいのかわからない人は多いのではないでしょうか。
FXで安定的に利益を上げるには自分に合ったルールを作り、それを守ることが不可欠です。
今回の記事ではFXのルール作りの重要性と、初心者でも自分のトレードスタイルに合ったルールを作る方法を詳しく解説します。
この記事を読めば、なぜルール作りが必要なのかを理解し、エントリー、利益確定、損切りのルールを作成するポイントを押さえることができます。
自分に合ったルールを作り、FXで長期的に安定した収益を得られるようにしましょう。
FXのトレードルールとは?
FXのトレードルールとは、トレーダー自身が決めるルールです。
最初に、トレードルールで決める内容を解説します。
トレードルールで何を決めるのか
FXのトレードルールで決める内容は、以下の3つです。
- エントリーのルール:いつ、どの通貨ペアで、どのような条件で取引を開始するか
- 利益確定のルール:どのタイミングで利益確定を行うか
- 損切りのルール:どのタイミングで損切りを行うか
初心者の段階でこの3つのルールを整備するのは難しいといえます。
エントリーと利益確定のルールは経験を積んで、ルールにしていくとよいでしょう。
最初の段階では、最低限損切りのルールを整備します。
FXでルール作りが重要な理由
FXでルール作りが重要な主な理由について解説します。
勝率が上がるから
FXでルール作りをしてトレードに臨むと、勝率アップが期待できます。
なぜなら、明確な基準に基づいたトレードが可能になり、市場の状況に左右されにくい一貫性を保てるからです。
たとえば、「トレンドラインをブレイクしたら買い」といったルールを設定すると、根拠のないエントリーを避けられます。
このように明確な取引ルールに基づいたトレードは、市場の状況に左右されにくいため、勝率が向上しやすくなります。
トレンドライン:相場の方向性を分析する際にチャート上へ引く線
ブレイク:一定の水準を上抜けまたは下抜けした状態
大きな損失のリスクが減るから
FXでルール作りは、大きな損失のリスクを減らすために非常に重要です。
損切りのルールの設定により損失を最小限に抑え、リスク管理を適切に行うことで資金管理が改善されます。
たとえば、「損失が残高の2%に達したら、即座に損切りする」といったルールを設定すると、大きな損失を未然に防げます。
たとえ一時的に負けトレードが続いても、致命的な損失を避けられます。
このようにFXのルール作りは大きな損失のリスクを減らすために非常に重要な役割を果たします。
感情に流されないトレードができるから
FXでトレードルールがあると、感情に流されないトレードが可能です。
ルールに従うことで恐怖や欲といった感情に振り回されることなく、客観的な判断に基づいたトレードができるようになるからです。
予期せぬ市場の急変があったとしても、損切りルールに従ってポジションを閉じてしまえば必要以上の損失を被らずにすみます。
また、利益が出ているときに欲が出てきても、利益確定のルールがあれば適切な時点で利益を確保できます。
FXでルールを作ることは、利益確保や損失の最小限化に役立つのです。
時間と労力の節約につながるから
FXでルール作りをしておくとトレードの時間と労力の節約につながり、ラクにトレードできるようになります。
トレードルールに従うことで市場を分析する時間が削減でき、あらかじめルールを決めておくために都度考える手間が省けるからです。
また、ルーティン化されたトレードにより、効率的に取引ができるようになります。
たとえば、「移動平均線がゴールデンクロスしたら買い、デッドクロスしたら売る」といったルールを設定していた場合、チャートを見るだけで取引の判断が可能です。
これにより、市場分析に費やす時間を大幅に削減できます。
市場分析の時間を短縮できると、より多くのエネルギーを戦略の改善に振り向けられます。長期的な視点で考えても、ルール作りは重要な要素といえるのです。
ゴールデンクロス:短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上に交差して抜けること。 上昇トレンドのシグナルとされる。
デッドクロス:短期の移動平均線が長期の移動平均線を上から下に交差して抜けること。下降トレンドのシグナルとされる。
自分に合うトレードルールの作り方
ここでは、具体的なトレードルールの作り方を解説します。
エントリーのルール
FXのエントリーで参考にされるのは、テクニカル指標やチャートパターンなどです。
エントリーの判断に用いられるテクニカル指標には、以下のようなものがあります。
- 移動平均線:一定期間の価格の平均を結んだもの
- RSI:FXにおける「売られすぎ」「買われすぎ」を示す指標
- MACD:移動平均線を改良したトレンドの強弱を判断できる指標
チャートパターンには、トレンドライン、サポートライン、レジスタンスラインなどがあります。
これらのパターンを分析しながら市場の節目となるポイントを把握し、エントリーポイントを判断できます。
エントリールールはトレードの経験を積んで、自分が得意とする相場の状況が明確になってから設定します。
エントリーの理由や参考にした指標などを簡単に記録しておくとよいでしょう。
サポートライン:下値を支えるライン。サポートラインを割り込むとトレンド転換する可能性が高まる。
レジスタンスライン:上値を抑えるライン。レジスタンスラインを突破すると上昇に勢いがつく可能性がある。
利益確定のルール
FXの利益確定の判断は、エントリーの判断より難しいといえます。
利益確定はFXの収益に直結するためです。
まずは目標とする利益率や益出し幅を設定しましょう。
その目標に達したら利益確定するのが1つのルールです。また、テクニカル指標やチャートパターンを参考にする方法は利益確定にも有効です。
さらにほとんどのFX会社ではトレーリングストップ注文という、利益の最大化に役立つ便利な注文ができます。
トレーリングストップとは価格が有利な方向に動いた場合、ストップ注文(逆指値)も併せて一定幅ずつ有利な方向へスライドさせる注文方法です。
これにより利益を確保しつつ、さらなる上昇を狙えます。トレーリングストップは強いトレンドが発生している場合に特に有効です。
市場の状況によって利益確定ルールを何パターンか作っておくとよいでしょう。
損切りのルール
損切りルールの設定は損失額・損失率で決める、または値幅で決める方法が一般的です。
損失額で決めるルールは「1回のトレードで1,000円の損失が出たら損切り」のようなやり方です。
金額で決めるのは簡単ですが、資金量によって設定を変更する必要があります。
損失率で決める方法は「1回のトレードで残高の2%の損失が出たら損切り」というようなルールです。
残高(証拠金)は変化するため、毎回損切りラインを計算しなければなりません。
値幅で決めるとは、「10 pips損をしたら損切り」という方法です。
これらの方法ではトレーダーのリスク許容度に応じた損切りルールの設定が可能です。
また、テクニカル指標によって損切りの水準を決める方法もあります。
たとえば、移動平均線を損切りラインとして利用する方法などです。
いずれにしても損切りルールは必ず設定する必要があります。
まずはやりやすい方法を取り入れて、後から変更してもよいでしょう。
pipsとはFXの通貨ペアの値幅を表す共通単位です。
1pipがいくらを表すかは、通貨ペアによって異なります。米ドル/円の場合、1pipは1銭、100pipsは1円です。
作ったルールを活かすポイント
ここからは、作ったルールを活かしていくためのポイントを解説します。
根拠に基づくルールを作る
FXのトレードルールを効果的に運用するには、根拠に基づいたルール作りが不可欠です。
根拠のないルールは、長期的に通用しない可能性があるためです。
たとえば、「移動平均線を上抜けたときのみエントリーする」というルールを作る場合、実際のトレードで検証ずみである必要があります。
実践を通じて得たルールであれば、利益を得やすくなります。
過去のデータや検証結果に基づいて、根拠のあるルールを構築することで、市場の特性を反映した効果的なトレード戦略を立てられます。
安易にルールを破らない
せっかく設定した自分だけのトレードルールは、安易に破らないようにしましょう。
当然のことながら、ルールを守らなければ期待した効果は得られません。
ルールを破ると、感情に流されたトレードになりがちです。
たとえば、損切りルールの上限を超えて損失が拡大した際に、「もう少し待てば相場が反転する」と期待してルールを破ってしまうようなケースです。
しかし、これは感情的な判断であり、結果的により大きな損失を招く可能性があります。
FXではルールを守ることで一貫性のあるトレードができ、感情的なトレードを避けられます。
ただし、どうしてもルールを守れない場合、ルールの内容が現実的でない場合が考えられます。
その場合は、ルールを改善しましょう。
ルールを改善していく
作ったルールはずっとそのままではなく、必要に応じて改善していくことが大切です。
市場の状況は常に変化しているため、一度作ったルールが永遠に通用するとはかぎりません。
定期的に取引結果を分析し、ルールの有効性を検証します。作ったルールの中に長期間利益を上げられなくなったものがある場合、市場の変化に合わせて見直し、新たな指標を取り入れるなどの改善策を立てます。
FXトレードで作ったルールは有効性を検証することで改善し、より効果的な取引手法の確立につながります。
トレードルールの具体例
これまでの内容を踏まえ、トレードルールの具体例をいくつか紹介します。
エントリーのルールの例
以下は、エントリールールの一例です。
- 移動平均線のゴールデンクロス
- RSI が70%を超えたら売り、30%を下回ったら買い
- 特定のニュース発表後のトレンド発生時
- サポートラインからの反発
利益確定・損切りルールの例
利益確定・損切りルールの例も紹介します。
- 利益確定はエントリー価格から100pips
- 損切りはエントリー価格から50pips
- 元本の2%を損切り幅、4%を利益確定幅とする
- 直近の高値(安値)を上回った(下回った)時点で損切り
その他のルールの例
トレードルールで必要なのはエントリー、利益確定、損切りについてですが、その他のルールを設けても問題ありません。
具体的には、以下のようなルールです。
- 1日の取引回数を3回までに制限する
- ポジションの保有期間を24時間以内に限定する
- 特定の時間帯、たとえばニューヨーク市場が開く時間帯のみトレードする
- 取引する通貨ペアの制限(マイナー通貨のトレードはしないなど)
まとめ
FXでトレードルールを作ると効率的なトレードが可能になり、安定した収益を期待できます。
エントリーと利益確定のルールは、一定の投資経験を積んで自分のトレードスタイルがはっきりしてきてから決めるとよいでしょう。
損切りルールはすぐにでも決めておき、初期の資金損失を最小限に抑えるようにしましょう。