マイナス金利解除!住宅ローンを組んでいる人への影響と対処法

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日銀のマイナス金利政策が解除されました。

それにより住宅ローン金利の影響が取りざたされています。

本当に住宅ローンの適用金利が引き上げられるのでしょうか。変動金利で住宅ローンを返済中の方は、ご自身の支払い金額が増えるのではないかと不安になっている方も多いかもしれません。

マイナス金利と住宅ローンの関係や暮らしへの影響について解説するとともに、住宅ローン金利が上昇した際の対応策についてもお伝えします。

目次

マイナス金利解除(利上げ)と住宅ローンの関係は?

マイナス金利とは、民間銀行が日銀の当座預金に預け入れを行ったときに預け入れ金利がマイナスになる金融政策です。

金融政策の全体像、そしてマイナス金利と住宅ローンの関係は次のとおりです。

マイナス金利は金融政策のひとつ

日銀は「銀行」といっても消費者がお金を預けたりお金を借りたりすることはありません。

金融システムや物価の安定を守ることを目的とした組織であり、そのために複数の金融政策を行っています。

なお、新札を発行・管理するのも日銀の重要な役割です。

マイナス金利は2016年2月に導入された政策で、民間銀行が日銀にお金を預けるとき、一部で預け入れ金利がマイナス(金利がかかる)になる、といった内容でした。

日銀にお金を預けると金利がかかってしまうため、日銀への預け入れを抑制できます。それによって民間銀行が低い金利で融資を行い、経済が活性化することを狙っていました。

これは「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」といって、もともと2013年から行ってきた「量的・質的金融緩和(異次元緩和)」のカンフル剤として追加導入された政策です。

「量的・質的金融緩和(異次元緩和)」とは市場のお金の量を増やしたり、長短金利操作を行ったりすることです。

具体的には「マネタリーベース増加」「国債買入れオペ」「イールドカーブ・コントロール」などの金融政策のことで、ニュースなどで耳にしたことがある方も多いでしょう。

マイナス金利と暮らしの関係

前述の通り、マイナス金利は「日銀」「民間銀行」とのやり取りに対する政策です。

消費者や企業が銀行に預け入れる際の金利が「マイナス金利」になるわけではありません。

しかし、日本銀行と民間銀行との取引金利は、あらゆる金利の基点です。

基点の金利が下がることで、国全体に金利低下圧力がかかっていました。当然、住宅ローン金利も押し下げ効果の恩恵を受けていました。

住宅ローン金利が非常に低かったのは、基点の金利が低かったことや、銀行間の顧客獲得競争が激化していたことなど風数の要因が重なっていたと考えられます。

マイナス金利の解除(利上げ)は生活にどう影響する?

今後、いわゆる「利上げ」に転じると、生活全般に影響が生じると考えられます。

どのような影響なのか、家計と住宅ローンの視点で解説します。住宅ローンについては、変動金利か固定金利かで影響が違うため、それぞれ解説します。

家計に関わる要素

「プラス要素」と「マイナス要素」があります。

【プラスの要素】預金金利の上昇

主要銀行におけるマイナス金利時の預け入れ金利は、普通預金で「0.001%」程度でした。

すでに預金金利上昇に対応しつつあり、例えば、三菱UFJ銀行はスーパー普通預金の金利を「年0.02%」に、スーパー定期(1年)の金利を「年0.025%」に引き上げています。

【マイナスの要素】 借入金利の上昇

基点の金利が上がれば、銀行が企業融資する際の金利や、住宅ローン金利も上がると考えられます

企業融資の金利が上がればコストとして商品・サービス価格に転嫁されるかもしれません。

為替への影響も知っておこう

理論上は利上げすると円安に振れるとされています。

というのも、一般的に金利の低い通貨は売られ、金利が高い通貨は買われるからです。しかし、2024年4月頭の段階ではドル円は「150円」を超えており、円高基調が続いています。

これは為替相場は相対的なものであるからと考えられます。

円が利上げしてもそれ以上のペースで他の通貨が利上げすれば、円は継続して「金利の低い通貨」になってしまいます。

通常、円安は輸出企業にとって有利で、輸入企業にとっては不利とされます。

しかしどちらの企業にとっても、極端な為替の動きは企業の経営計画を揺るがすので、歓迎されるものではありません。

変動金利

変動金利の基準となるのは「短プラ(短期プライムレート/貸出期間1年未満の金利基準)」が多いです。

しかし短プラは傾向として、マイナス金利導入によって下がりませんでした。そのため、理論上はマイナス金利が解除されても、すぐに上昇する理由がありません。

さらに金利が上昇した際に短プラも上がると考えられますので、しばらく猶予があると言えそうです。

現在変動金利の住宅ローンを返済している方は、将来的に返済額が上がる可能性があると考え、住宅ローン金利の上昇(返済額の増加)に備えておくといいでしょう。

ただし、何らかの理由で借り換えを検討している場合は注意が必要です。

借り換えは、借り換え先での新たな住宅ローンとなるからです。

近年は住宅ローン金利の競争が激しく、新規申し込みにおいてもギリギリの引き下げを行っていた銀行が、若干引き下げ幅を縮小する可能性はあります。

固定金利

固定金利は、すでに上昇の兆しが見え始めています。

固定金利の基準となる長期金利も日銀は操作していましたが、長期金利の目標値を設定したうえで多少の変動は許容していたからです。

フラット35といった全期間固定金利で住宅ローンを借りている方は、上昇したとしても返済額に影響はありません

しかし借り換えを含む、新規借り入れを検討している方は、金利水準を注視しておきます。

市場全体の動きを見ることも重要ですが、借入先の金利を確認します。

なお、固定金利には所定の期間のみ金利が固定される「固定期間選択型」もあります。固定期間選択型の場合、固定金利期間終了後はその時点の金利が適用金利となります。

一般的には固定期間終了後は変動金利となりますが、再度固定金利を選択できるケースもあります。ご自身の住宅ローンの仕組みを確認し、固定期間終了時の状況に応じた選択ができるようにしておきたいです。

住宅ローンの変動金利 2つのルール

ここからは、変動金利で住宅ローンを借りていて、返済額が増えることを懸念している方向けに、一般的な変動金利について掘り下げます。

まず、変動金利の決まる仕組みを確認した後に、住宅ローン契約者を守るための2つのルールを紹介します。

変動金利における金利の決まり方

変動金利の金利は半年ごとに適用金利を見直します。次のような決まり方が多いです。

  • 「4月1日」の基準金利をもとに適用金利を検討 決定は「7月」
  • 「10月1日」の基準金利をもとに適用金利を検討 決定は翌年「1月」

上記のフローで、仮に2024年10月に金利が上昇していれば、2025年の1月に適用金利が上昇することになります。

2025年1月に適用金利の上昇が決定したとしても、その「利上げ」が住宅ローン返済に反映されるのは7月くらいになることが多いです。

ただし、銀行ごとに適用金利の取り扱いは異なりますので、ご自身の住宅ローンの金利の決まり方を確認しておきましょう。

5年ルール

適用金利が上昇したとしても、5年間は毎月の返済額が変わらないとするルールです。

負担額が増えるまでの猶予期間ともいえるもので、その間に繰り上げ返済や資金準備などの対応を検討できます。

125%ルール

金利上昇によって返済額が増加する場合、増加割合をそれまでの返済額の「125%まで」とするルールです。

このルールにより、急激な返済額増加は回避されます。

ただし、これらのルールは急激な変化を緩和するためのルールであり、金利上昇分がなくなるわけではありません。

例えば、返済額がそれまでの返済額より大きく増えたのに、実際の返済額は制度上「125%」に抑えられている場合、返済してもそれが利息に充てられてしまい、元本が減らない状況になるリスクもあります。

返済額が利息にも足りない場合は 返済しても未払いの利息(未払利息)が発生する可能性もあります。

通常の返済期間中に未払利息が返済しきれないときは、住宅ローン完済時に清算しなければなりません。

変動金利の上昇までにやるべきことは

利上げによって住宅ローンの返済額が増加しそうな場合に、真っ先におすすめしたいのが今後の金利上昇シミュレーションです。

いくら支払額が増えるのか具体的な金額が把握でき、ご自身の家計が金利上昇に耐えられるか確認できます。

金利上昇に耐えられる余裕があれば、そのまま様子を見てもいいでしょう。

家計の余裕がない場合次のような対策を検討します。

家計の見直し

出費を抑制します。目に見えて不要な出費があればいいのですが、何をどう減らせばいいのか迷ったときは、固定費の見直しから行いましょう。

例えば映画や音楽配信といった、サブスクリプション、携帯電話のプラン変更などが該当します。

返済プランの見直し

返済額軽減型の繰り上げ返済が出来ないか検討します。

ただし、大きく金利が上昇することは考えにくいので、慌てて繰り上げ返済する必要はありません。

物価も上昇しているので、繰り上げ返済しすぎで生活が圧迫されないように注意しながら、繰り上げ返済額を決定します。

年収の引き上げ

5年ルールがあれば、実際に返済額が増加するまで数年猶予があるはずです。

そのため、数年かけてキャリアアップを図ったり、新たなスキルを得て副業をはじめたりする。

もしくは共働きできる環境を整えて1馬力から2馬力になることで世帯年収の底上げを実現する選択肢もあります。

複数の打ち手があるはずですので、ご自身のできることを前向に検討していきましょう。

変動金利から固定金利への変更は可能?

借入先によって異なりますが、変動金利から固定金利へと金利変更できる銀行もあります。

しかし、変更金利よりも固定金利の方が金利が高水準ですので、支払い額は高くなると予測されます。

金利上昇によるリスクはなくなりますが、それによって支払が苦しくなってしまっては意味がありません。金利変更は大きな変化ですので、慎重に行います。

まとめ 利上げの影響を知って対応しよう

マイナス金利解除によって住宅ローン金利が上昇する可能性はあります。

しかし、金利上昇の事実だけで不安になることはありません。というのも、いきなり大きな金利上昇は考えにくいからです。

仮に金利が上昇し続けるとしても、家計の見直しや稼ぐ力の強化など、備える手段があります。慌てずに、住宅ローンの返済プランを修正していきましょう。

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この記事を書いた人

マネー系・ITに強いライターとして2013年からWEB記事の執筆・編集に携わる。「分かりやすく」「誰のための記事なのか」を見極めることで、精度の高い記事を作成。需要に応じた記事を短期間で書く技術で、年間100本以上の記事に関わる。 AFP/ライフプラン応援事務所

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